計量士(一般計量士)になるには、以下の2つの方法があります。
1.計量士国家試験コース
計量士国家試験(4科目)+実務経験1年
2.資格認定コース
(独)産業技術総合研究所の教習(3ヶ月)+実務経験2年
計量士関係 (経済産業省HPから)
毎年12月中旬に国家試験が実施される。願書は早めに申請する必要あり。
試験科目:
1.計量に関する基礎知識
2.計量器概論及び質量の計量
3.計量関係法規
4.計量管理概論
新しい計量士国家試験に対応した「計量管理概論」の改訂版が2020年6月に発行されました。
コロナ社HP
↑経済産業省HPによる第71回計量士国家試験の案内になります。
<第71回一般計量士国家試験 合格体験記>
【経歴】
4年生大学卒業(理工学部 機械工学科)後、エネルギー会社に4年勤務後。
その後転職し、食品メーカーの設備管理を実施。
年1つ国家資格を取得するように習慣づけている。
【きっかけ】
食品メーカーに勤務しており、原料の受入や製品の出荷にホッパースケールやトラックスケールを用いた設備を所有しているため。
また、受験に至るまで社内には1名しか一般計量士の資格所有者がおらず、他社員との差別化を図りたかったことに加え、前職においても航空燃料の計量にスケールを使用しており以前から興味があった。
何より一般計量士の先輩が、人情の厚い教育をしてくれたことも受験に至ったきっかけ。
【受験】
2度目の受験で合格。
【対策】
経済産業省HPに掲載されている過去問十数年分を、繰り返し解いて傾向対策を実施。
ホームページリンク先
https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/23_kakomon.html
以下各科目対策
「一基」・・・高校数学並びに物理の定期試験レベル。過去問対策時に理解できない問題については、高校時代の教科書を使用し基礎レベルを復習した。
「管理」「計質」・・・「日本計量振興協会」から出版しているテキストを使 用。テキストを正規で購入しますと割高ですので、メルカリ等の マーケットプレイスで販売している古本を購入して対策した。テ キスト内にも聞きなれない言葉が出てきますので、都度調べ理解 するようにした。
「法規」・・・ひたすら暗記する内容。
「日本計量振興協会」のテキストを通勤時間に 繰り返し読み
返した。
特に過去問で出題された場所にはマーカーをして 自分なりの傾対
策本を作った。
【総括】
出張が多い業務のため、
出張先にもテキストや過去問を持参し、勤務後にホテルで
勉強をした。継続し勉強可能な環境を作りあげることが大事。
2度目での受験で合格となったが、
初回の受験時は過去数年分のみ対策していたため
傾向が掴み切れていなかった。過去十数年分を解くことにより、
傾向並びに対策が充分にできたと感じた。
<コラム 第70回計量士国家試験 一般計量士合格体験記>
*以下の内容は一般社団法人日本計量振興協会並び執筆者の許可を得て掲載しています。
〈受験に関する時間の使い方やスケジュール感〉
受験を決めてからは、まず情報を収集するところからスタートしました。計量士の試験はインターネットで調べていても難易度が高いという話がよく挙がっていたので、確実に合格するために勉強期間を半年に設定しました。その半年のスケジュールについても
・4科目についてまとめを作成し、じっくり解いていく期間:4か月程度
・シュミレーションテスト期間:2か月程度
に分けて実施する予定としました。その後は過去問を繰り返し解くことで頭に情報を叩き込む学習を意識しました。仕事をしながらの勉強ですので、帰ってきてからの時間を勉強に割り当て2時間程度の学習でこなしていきました。平日の進み具合はあまり良いものではなかったため、重要なのが休日の学習でした。カフェなどに出向き、4科目全ての復習をメインに、長い時は1日をカフェで過ごしながら学習を進めておりました。その中で気が付いたのは、計量に関する基礎知識(一基)/計量器概論及び質量の計量(計質)については、‘一基’は高専で学んだ工業数学の内容が活き、解き方を思い出すのがメインだったこと、そして‘計質’の内容は会社での普段の業務内容が直結しているものがあり、違和感なく覚えられたことでした。しかし計量管理概論(管理)/計量関係法規(法規)については、法令ということもあり、なかなか覚えられず苦戦しました。そこで実践したのが視覚的情報の記憶によって覚えていく方法です。法規のみならず、4科目の対策として非常に有効だと感じました。
〈日本計量振興協会の準備講習会とご教示頂いた有効な対策〉
学習を進めていく内に、独学では太刀打ちできない可能性もあると感じたため、日本計量振興協会主催の「計量士国家試験準備講習会」に参加させていただくことにしました。その際に印象に残った点をいくつか紹介します。
・難易度の高い問題は執着せずに切り捨てる
・忙しさを言い訳にしない
これらは、一基の講習を担当されていた佐藤講師からいただいた言葉です。特に「忙しさを言い訳にしない」に関しては的を射て居るなと感じました。「今日は疲れたから…」と言い訳を理由に逃げることは非常に簡単且つ誰でもできるので、どうしてもしてしまいがちです。しかし逃げてしまいたくなる時もこの言葉を思い出し、あの場所で聞いていた他の人は1問でも多く進めているかもしれないと考えるとやる気が湧いてきたのを覚えています。
ここで、本講習にてご教示頂き、実践した対策を紹介していきましょう。
〇視覚的記憶の活用
講習を受けた際「各科目のまとめ資料を作成することで、数式や文章などが記述してある場所を覚えるようになる」ということを教えていただきました。私は幸いにもホワイトボードを持っておりましたので、一基/計質/概論の3科目について公式や言葉の解釈などを記述し、解く時にまとめて資料として確認したり、会社から帰ってきた時にパッと見て「この辺にベルヌーイの定理が書いてあるな」と考えてみたり、寝る前にパッと見て「この辺りにドップラー効果の公式が書いてあるな、式はこんな形なのか」というようにぼんやりと記憶していた公式に対して式の幾何学的な形や覚えている位置などの視覚的情報が加わり、ハッキリと思い出すことができるようになりました。法規については、専用の紙を用意しまとめました。
4科目全てに同じことが言えるのですが、過去の問題を解いていく中で、各年似たような問題が出題されていることに気がつきます。そこを重点的にチェックし、不要な要素は排除するようにまとめました。
勉強の進め方はひとそれぞれですので、これが正しいやり方というわけではございませんが、なにから手をつけたら良いのか迷って動き出せない方の助力になれば幸いです。
【出典】一般社団法人日本計量振興協会発行 計量ジャーナル158号21頁-23頁から抜粋
<コラム 国家試験対策(受験体験談)>
筆者が、10年以上前に受験した時の個人的体験ですが、参考になればと思い記述します。
計量士会でも資格認定コースで計量士になった方が、おられます。3か月間教習を受けているので同期の絆は深いと感じています。しかし、3か月間勤務を休んで教習を受けるのは、勤務先の理解が必要です。現実的には公務員の方、家業で計量の仕事をやられている方に限られてくると思いますので普通の方は国家試験コースを選択せざるをえないと思います。
日本計量振興会の受験講習を受けると良いといわれています。筆者は仕事の関係で受講できませんでした。日本計量振興協会から科目別テキスト、過去問題集が発行されているので入手すべきです。計量関係法規以外は、苦手なところは別途参考書がないと厳しいと思います。あくまで参考ですが、私の使った参考書を記載します。
1.計量に関する基礎知識
数学と物理の問題が半分ずつ。数学は大学教養課程レベル、代数の参考書(テーラー展開、三角関数)でおさらいした。物理は高校レベル、高校物理Ⅱの参考書でおさらいした。
「やさしく学べる微分積分(石村園子)共立出版」
「物理教室(河合塾シリーズ)」
2.計量器概論及び質量の計量
個々の計量器の原理と構造など。流体力学は学んでいなかったので大学工学系の教科書を購入し理解した。過去に見たことがない計量器も試験に出るので原理を含めて理解することが、必要である。
「流体の力学(中山泰喜)養賢堂」
3.計量関係法規
テキストを読み、過去問をひたすら解いて丸暗記し、過去問で出題パターンになれるしかない。
4.計量管理概論
筆者は仕事が品質管理だったのでほとんど勉強する必要がなかった。仕事で従事していない場合は品質管理の参考書が必要。
過去問題集は、1回やって、あとは間違えたところを中心にしてさらに2回やった。
試験は、5択のマークシート方式なので出題パターンに慣れることが、合格への早道だと考えます。
資格取得後も日本計量振興協会をはじめとした講習会が開催されるので適宜受講することが出来ます。
一般計量教習を受講する。
産総研-計量研修センター
https://unit.aist.go.jp/qualmanmet/metroltrain/
実務経験が2年間必要である。
<コラム:一般計量教習受講経験談>
入所試験について
過去問を貰える(直近2回分)のでそれを参考書を使いながらでも解けるようにしておきたいです。数学、物理の目安としては何も見ずに6割、参考書を使って8割。数学、物理ともに大学入試レベル、一般常識については過去問は傾向を見る為のみに使用程度で私は望みました。
一般計量講習について
入所試験に合格すると9-12月の講習にていての案内が来ます。ほぼ全ての科目で最後にテストがあり、最低6割の点数が必要となります。特に電気回路、計測の基礎、電子回路、計量管理は文系の人間には難しいので受講後に復習が必要になります。また、計量法について法令の引き方が初めての人は計量法総論や計量法各論で苦労する可能性が高いのでそれぞれ得意な人を見つけて協力して勉強するのをおススメします。電気回路、計測の基礎、電子回路、計量管理は特別講習では応用に入ります。ここでしっかり理解しておきましょう。
全てのテスト終了後、実習があります。実際の検定方法が分かるので計量士になった後に役立つ事が多い実習です。
一般特別講習について
一般計量講習が終わると、一般計量士・環境計量士(濃度・騒音振動)の三種類の特別講習に分かれます。私は一般特別講習に行ったのでここではそこでの講習について書きます。1-3月で行われ、ほぼ全ての科目で一般計量講習同様にテストがあり、最低6割の点数が必要となります。また、物理、自動制御、計量管理Ⅱについては文系の人間には難しいと思いますのでしっかり復習しておきましょう。全てのテスト終了後、実習があります。こちらも実際の検定方法が分かる貴重な機会なので後に役立つ事が多い実習です。
さくら館について
これらの講習は全てつくばの産総研の中にあるさくら館で行われます。講習後も多くの人はそこで寝食を共にする事になります。講習後にある程度の人数で一緒に勉強出来るスペースもあり、計量士を志す者同士、親睦を深める環境が整っています。最大のメリットはここにあると思いますので、 この環境を活用しましょう。